■鳥取県内保育3団体の課題と将来のビジョンについて

 全国の保育組織のための保育団体ではなく、鳥取県の将来の保育を育む保育団体。

 

【 1 】 国の保育制度の疲労:少子社会への対応・待機児童への対応
【 2 】 地方分権と市町村合併における保育制度
【 3 】 幼保一元化への対応
【 4 】 多様な主体の保育経営参入への対応
【 5 】 保育関係者への支援体制
【 6 】 社会の保育に対する理解の促進
【 7 】 国際化への対応

【 1 】家庭支援:長期的支援
【 2 】子育て関係機関・団体との連携:幅広い支援

【 1 】新たな時代を切り開く児童中心主義保育の普及実践
【 2 】保育研究
【 3 】保育研修

 


【 1 】国の保育制度の疲労:少子社会への対応・待機児童への対応
  わが国は、明治維新・第2次世界大戦などに匹敵する大規模な変革の時代を迎え、世界で2度目のデフレ不況を経験し、社会構造の改革の道筋も見つけられずに長い空白の年月を送っている。
これらの不況によってますます保育の需要が増し、都市部を中心に待機児童が全国で2万5千人に達する見通しである。しかしながら同時に、過疎地では少子社会を先取りし、地域の力が失われ、地域存亡の危機に立っている。その中にあって少子現象は地方の保育所を過当競争の中に巻き込み、安定した保育所運営に影響をおよぼし始めた。これらの諸問題は、すべてを国の単位で図るような従来の制度によって解決することが不可能な状況となってきた表れといえよう。すなわち保育制度においても地域の問題は地域で解決する地方分権の精神が重要となったのである。
【 2 】地方分権と市町村合併における保育制度
  しかしながら、不況下の現在、地方は財源が不安定な中にあって、分権の推進は非常に困難を極める。だからこそ、これらの変化の中で保育も「子どもの最善の利益」を図るために自らが変化を求め、これを遂げなければならない時代となった。
つまり我々保育関係者も、住民自治の原則に合致した地域の新しい子育ての姿を模索し、単に制度によって運営する存在から、制度を自らの理念の下に作り上げる存在としての真価を自らが問わなければならないのである。それは常に子どもと子育て家庭の実情を知る最も近い存在としての責任としてだけではなく、人が人として生きるための福祉の精神に対する責任として果たさなければならない。
それらの責任は求められて始めるべきことではない。自ら責任を自覚し、常に現実を見つめ、理想を求めていく姿の中にこそ「子どもの最善の利益」が存在すると信じるからである。
「子どもの最善の利益」の概念は現実的に財政の効率化を目的の一つとしている市町村合併によってますます必要となってくる。この財政の効率化の流れに福祉や教育など子どもの育ちに関する事項も巻き込まれる危険性が非常に大きいからである。
また保育が政治の道具として利用されることも十分懸念すべき状況にある。
【 3 】幼保一元化への対応
  これらは効率化を旗印に、本来改善および拡充されるべき最低基準さえもなし崩しにし、本来役割の異なる保育所と幼稚園も状況が外面的に似てきていることを理由として一元化を図ろうとしている。
多様化であることが求められる社会への対応が構造改革であるはずなのに、それさえも気が付かないという、なりふり構わぬ経済優先の論理に対し、経済では経済の問題を解決できず、人が人らしく生きることに光を当てることが必要であることを子どもたちに代わり、地域としての在り方を具体的に発言することが求められている。
【 4 】多様な主体の保育経営参入への対応
  幼保一元化の流れのほかにも多様な主体の保育経営参入に関してもその対応を協議する必要がある。多様な主体の中でも企業立の保育園経営がそのスケールメリットによって効率性を全面に出し、過疎地であろうとも席捲する可能性は多いにある。無駄な経費をかけないことが求められるのは当然であるが、目先の経費にのみ目を奪われる可能性も高い。それは最低基準を守ってさえいれば良いという発想によって可能なのであるが、それに対しては、子どもの成長のために真に何が必要であるかを研究し情報発信しなければならない。
【 5 】保育関係者への支援体制
  時代の変遷と共に、このような非常に多くの問題に対処していくためには、統合し、外的あるいは内的に対応できるように体制を整える必要がある。特に内的な対応としては、保育士等施設職員は、今後ますます精神・物的両面において様々な圧力を受けることが予想されるので、保育関係者への支援体制の整備充実が必要である。
支援には、従来からの無駄を省くことと、将来に備える二種類があり、当然ながら両方について、今後のあるべき姿と現状を照合しながら再度整備し充実をはからなければならない。そして働きやすい環境と子どもの最善の利益と家庭への支援が矛盾することなく実現するよう、統合された保育の組織・行政・専門性を備えた学問分野等の三者が連携することが求められる。
【 6 】社会の保育に対する理解の促進
  保育関係者は、今まで保育の意義・制度などについて、社会に理解を求める必要性を感じておらず努力もしていなかったのが実状である。しかし現在保育は単に福祉的側面のみで語られる存在ではなく、社会化が再認識されている子育ての中核として積極的に子育ての中心的役割を果たす必要になってきた。
そのためには保育関係者が自ら行動すると同時に社会の保育理解を促進し、共に子どもや家庭を支え、育む姿勢が求められる。
【 7 】国際化への対応
  近年財政に余力が無くなってから特に動かないことで、事態を乗り切ろうとする傾向が顕著となってきた。しかしこれらは、結果的に個々人の精神に停滞を生じさせ、社会全体に対しても、様々な面で発展から縮小へと縛っている。
このような状況下にあって、鳥取県においては、支援を含めた様々な研修が企画実施されており、その中に国際交流事業も含まれている。
国際交流によって最も顕著になるのは、自らの姿勢や考え方の基盤となっている拠り所が外国を知ることによって明らかになることである。多様な価値観、多様な在り方など、多様性を受け入れるという福祉に携わる者・養護と教育の実践者として最も大切な考え方に触れ、人間性に幅を持つことでもある。


【 1 】家庭支援:長期的支援
  第二次世界大戦後の復興を契機に始まった民主化の流れの中で、封建的な家父長制の社会にも徐々に変化した。それにともない家庭の中で最も隅に追いやられていた女性も窮屈な古い体制から次第と開放された。一方社会全体は、滅私奉公の対象が国から会社に変化したに過ぎず、家庭や地域社会を犠牲にして物質的な生活の向上が図られた。それは、農村から都会への人口移動、社会構造の変化を招いた。その中で最も重視されたことは、様々な面における効率化であった。これは専門性による細分化や分業制を引き起こし、社会のあらゆる方面に影響を与えた。特に家庭は、父親不在と母親による子育て専業のスタイルが定着し、子育ても効率よく行うことが善しとされた。一時封建的家父長制の社会から逃れたかに見えた女性の生活も、効率化によって求めた故の伸び伸びとした孤独ではなく、社会から切り離された誰も望まない孤立を招き、子育てが孤育てとなってしまった。
母親は、我が子をどの大学へ進学させたかによって評価されるなど、今まで経験したことの無いプレッシャーとストレスが子育てに付きまとうようになった。その結果子どもに対する虐待や過度の期待から生じる圧力が強まり、それらの連鎖も含めて社会問題化するようになってきた。
また、子ども自身も、成長に必要な要素が社会から失われることによって様々な問題を引き起こすことが多くなった。
このような負の循環を断ち切るためには、単に幼児期だけの成長を対象とするのではなく、成人までを視野に入れた長期的な支援が必要である。
【 2 】子育て関係機関・団体との連携:幅広い支援
  子育ては、家庭だけでもなく、保育園だけでもなく、多くの人や機関によって支えられるべきであり、そのためにも専門家集団が連携を深め、問題を解決する仕組みが必要である。


【 1 】新たな時代を切り開く児童中心主義保育の普及実践
  子どもは私たちの未来の希望である。そのため、子どもが自らより良く生きていくために責任を負う専門家として、我々は常に時代の課題に取り組むことが求められている。それは、時代に追い詰められた子どもや家庭を救うための真に子どもの立場に即した保育の実践である。同時代を生きる一人の人間として、心を開き、共に成長する仲間として、一人ひとりの子どもの違いに配慮した、専門家らしい実践を行いたい。
また地域の新たな創造に欠かせぬ人材の育成は、地域が自立を求められる時代にあって必要不可欠となっている。その意味でも一人ひとりの可能性を開花させる基礎を培う場として、保育園はその役割を果たすことが求められており、それらの期待に応える力を養わなければならない。
【 2 】保育研究
  保育内容を充実するためには、それらに対する研究が不可欠である。保育現場においては、従来旧来の文化的価値観による経験と勘に頼って保育が行われていたが、そのすべてを否定はしないものの、新たな社会的問題に対して通用しないことが多くなっている。現在はそれらを「あるべき論」によってすべての問題を一律に解決しようとし、更に問題を悪化させている。保育従事者は保育の専門家として、一人ひとりの子どもや家庭を支援するために、新たな保育の創造を目指して絶え間なく研究することが求められている。
【 3 】保育研修
  保育研修は、実質的な保育の質を確保する上で非常に大切であると同時に、保育に従事する者を支援する意味も含んでいる。
従来の保育研修は、全国的組織・県内組織・地区組織・各施設単位で実施されてきた。それぞれにメリットはあろうが、内容の充実した全国単位の研修は、参加可能な人数に制限が多く、順番を待たなければならない状態である。組織を一本化することにより、これら研修の機会を増加し、質および機会共に充実した研修を実施することが可能となる。
また、子どもや家庭だけでなく保育者自身の成長の可能性を模索することにより、鳥取県の保育界のみならず社会のよりよい発展に通じることとなる。そのため保育研修の内容について保育実践者自らが責任を持ち、企画および運営することが必要である。